ドラマBizの新シリーズ「よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~」が始まりましたね!!
この作品は、周良貨氏の作で、夢野一子氏の絵によるもの。1993年から1997年にかけて「モーニング」(講談社)で連載された漫画作品が原作だそうで、都市銀行で働く女性総合職の主人公・原島浩美が、大胆な発想と行動力で業績不振の支店の立て直し等を手掛け上り詰める様子を描いた作品となっており、20年経って初めて実写化されることになったそうです。
第1話は、よつば銀行の頭取・鳩山英雄(古谷一行)が女性行員の積極的な登用を推進する『輝く女性プロジェクト』を発表し、業績不振の台東支店・営業課長に原島浩美(真木よう子)を送り込むところからスタート。
ところが、この抜擢には頭取の座を虎視眈々と狙う副頭取・島津雅彦(柳葉敏郎)のもくろみが絡んでおり、簡単に物語は進みません。一方女性が課長に着任したことに対し営業課の反応は冷ややかで、特に次期課長と目されていた加東亜希彦(丸山隆平)は冷たい視線を送っていきます。
初めての会議で無茶な約束をして動いていく主人公でしたが、着実に成果をあげていく事で回りの見る目も変わっていきます。難攻不落と思われた社長を説得する物語の山場では、遠山の金さんばりに・・・
恐れながら申し上げます!!
「会社は家族」というのなら
社長に不向きな息子ではなくて
専務に譲るべきだ
そんな事をズバッと言ってのけるのです!! 主役を演じる真木よう子さんは、いつもと違うキャラな気もしますが、坦々としたところは、いつものままで、なかなか面白く観させて頂きました。
ご覧になっていない方も、2回目からでも見られては如何ですか?女性の更なる登用が望まれる昨今、そうした意味でも観ておきたい作品かも知れませんよ。
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今年2019年1月1日にNHKで放送されたBS1スペシャル【“衝撃の書”が語る人類の未来~サピエンス全史/ホモ・デウス】の回、ご覧になられましたか?ユヴァル・ノア・ハラリさんの書かれた2冊の本をもとに、第1部「サピエンス全史」、第2部「ホモ・デウス」の2部構成にまとめられた物でしたが、とにかく視点がこれまでの解釈とは全く違って面白く、とても楽しく観させて頂きました。
【私たち人類は本当に幸福になっているのか?】そんな問いかけをされてしまうもの…。
『サピエンス全史』は、全世界で1,000万部超えの歴史的なベストセラーとなり、マイクロソフトのビル・ゲイツやFacebookのザッカーバーグ、ノーベル文学賞のカズオ・イシグロ、オバマ元大統領など、世界のリーダーや著名人が絶賛しています。人類250万年の歴史を全く新しい驚きの視点から読み解き、世界中に注目されている“衝撃の書”です。
そして、日本で昨年9月に刊行された続編『ホモ・デウス(神となった人間)』も400万部を突破しているベストセラーで、「テクノロジーの進化が人類の未来をどう変えるか?」を“未来予測”しています。「人類=ホモ・サピエンスが、なぜ地球上で最大の力を得たのか?」という人類誕生の原点から、認知革命、農業革命・人類の統一という“発展”に隠された真実、さらには宗教の問題から未来までを描く壮大な物語となっています。
著者のユヴァル・ノア・ハラリさんは、1976年生まれの若き歴史学者。オックスフォード大学で中世史、軍事史を専攻して博士号を取得し、現在、エルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えており、軍事史や中世騎士文化について数多く執筆されているそうです。多くの受講者を抱えた無料のオンライン講義を行うほか、TED(Technology Entertainment Designの略称で、学術・ エンターテインメント・デザインなど幅広い分野の専門家による講演会を主催している米国の非営利団体。)でも講演を行っているとのこと。
2016年に発売された『サピエンス全史』は、日本でもビジネス書大賞2017でグランプリに輝いていますが、ハラリさんは、「この先、人類は超エリートと“無用者階級”に二分される」という刺激的な未来予測を語られていました…。
番組 第1部では“知の巨人”著者ハラリさんへの池上 彰さんのインタビューを軸に「知の巨人」らによる読み解きも交えて、人類250万年の歴史を徹底分析。私たち人類が地上の覇者になるまでの250万年にわたる 発展の歩みの分析です。ハラリさんのアプローチは、これまでの人類史とは異なり、生物学や経済学など、多くの視点を取り入れた全く斬新なものです。
例えば、ネアンデルタール人は、サピエンスより脳が大きく、力の強い種族でしたが、駆逐されてしまいました。普通に考えてあり得ない事が何故起きたのか?それは特別な力「フィクションを信じる力」だと言い切ると、具体的な例を挙げていきます。
また、農業を始めたことで食料供給が安定し、私たちは幸福を手にしたというのが通説なのですが、ハラリさんの解釈で言うと、人類は穀物を育てるために働く時間が長くなり、作物の出来不出来によって飢餓のリスクが増え、おまけに 貧富の差まで生まれたというのです。農業革命によって自分の土地を守ろうとする農耕民同士の争い事も増え、更には視点を一気に逆転させて、こんな事まで・・・
「穀物の側から見れば、サピエンスは一年中…朝から晩まで世話をして仲間を増やしてくれる存在。つまり、自分たちを世界中に広げてくれる都合のいい働き手であり、小麦が人間を家畜化した」というのです。ユニークですよね。
第2部はAIやバイオテクノロジーの最前線取材を加え、人類の未来の行方と、2019年を生きる糧となるヒントを探っていきます。「生物工学」や「ゲノム編集」「ミニマル・セル」など、注目されるキーワードから人間は神の領域に立ち入り、後半ではとうとう人間の助けとなっていたAIが、人間をのみ込んでいくと展開していきます。ハラリさんが最も懸念しているのは、人間そのものの価値が失われていくことでした…。
前後半、各50分で構成された番組でしたが、あっという間の興味深い中身でしたので、再放送の際には是非ご覧頂きたいし、まだ読まれていない方等は、出版されている本にも手を伸ばしてみたくなりますよね。
そう言えば、このハラリさん、この2冊の後に完結編ともうかがえる『21 Lessons for the 21st Century』という本を出されています。前2作で「過去」と「未来」を描いていましたが、今回は、「現代」の問題に取り組もうとされているようで、『ホモ・デウス』で描かれた望ましくない未来を、なんとか回避しようと「21世紀という時代特性を踏まえた21の教訓」が示されています。どう対処するのかというハラリさんのアイデア集というわけです。
全2作ほどの評価はないようですが、3部作と思えば、これにも目は通しておきたいですよね。読書嫌いな私ですが、読みたい本ばかり増えてしまって、全部読むのも厳しいですよねぇ・・・これが、読書嫌いらしい発言なんですかねぇ・・・。・・・全部、テレビ化してくんないかなぁ・・・
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昨年12月16日に放送された【メルクリウスの扉】・・・【日本が世界に誇る100の“ストーリー”16回目…日本に根付いた海外企業】の回(話の中心は『ネスレ』)、ご覧になられましたか?
日本にやって来て根付いた企業と言えば、今では様々なブランドが浮かんでくると思います。iPhone X発売日の長い列。毎年、お祭りのようだという人もいて、Appleの人気は衰えません。愛知県長久手には、IKEAの新店舗。オープンには2,500人の行列ができたそうです。アディダスは1967年い日本に進出。マクドナルドは1971年にアメリカから。ZARAは1998年。ダイソンは1998年。
そして今回の主役、日本進出のパイオニアといわれるのがネスレ日本株式会社。スイスのヴェヴェーにある売上高世界最大の食品メーカー”ネスレ”の日本法人で、本社は兵庫県神戸市に所在。1913年に日本に進出し、2013年には創業100周年を迎えています。
ネスレが日本で成功した理由は「郷に入れば郷に従え」。その最たるものが『ご当地キットカットシリーズ』。広島の「もみじ饅頭味」に静岡・関東の「田丸屋本店わさび」など、日本風にアレンジされたものが数多く存在し、観光で地方に行って見つけると、ついついお土産として買ってしまいますよね。この『ご当地キットカット』、なんと番組放送時点で30種類以上にもなるそうです。
日本で販売されているキットカットを作っているのは、茨城・稲敷市の霞ヶ浦工場。新商品の開発を担当する大橋さんは、キットカット”和の達人”。これまで開発したものには、岩泉ヨーグルトに日本酒など使用したもの・・・キットカットショコラトリーという高級路線ブランドを持つモレゾン抹茶も紹介されていました。モレゾン抹茶は香り高い茶葉を練り込んだ抹茶チョコレートに小豆・玄米パフ・ゆずピールをトッピング。この高級路線キットカットは「キットカットショコラトリー」の限定品で、有名パティシエ・高木康政が全面監修した世界初のキットカット専門店になります。
日本の海外戦略は、外国人観客の増加。2017年は2,400万人。5年前の4倍となっており、新たに、4,000万人を目標にしていました。外国人には日本の炊飯器や水筒が人気ですが、キットカットも人気。イギリス生まれで、日本では1973年に発売されましたが、MEGAドン・キホーテ 渋谷店では、入り口付近にキットカット売り場が用意されており、外国人立ちがたくさん買っていくといいます。日本にはいろんな種類があるので、人気があるようで、日本独自のキットカット文化なんだとか。
大橋さんは和風テイストの商品が多い理由について「日本文化の発信をしたいという思い。日本ならではのキットカットをぜひ召し上がっていただきたい」と話されます。キットカットは3層のウエハースの間にクリームをはさみ、チョコレートでコーティングしたお菓子ですが、大橋さんが取り組んでいたのは、甘酒味のものや、東京名物「東京ばな奈」とのコラボレーションのもの。東京ばな奈と言えばふわふわ&しっとりした食感が特徴的で、パリッとした食感のウエハースが特徴のキットカットにあのしっとり感が出せるのか・・・(現在、既に発売されているようですよ)。
大橋さんは高校生の時に食品開発をしたいと思い、明治大学・農芸化学科を専攻。最初に入社したしょうゆメーカーでは調味料などを開発されていたんだとか。しかし、30歳の時にネスレへ入社。5年後にキットカットの開発部門に配属されたとのこと。そんな大橋さんの頭の中はキットカットのことばかりで、「もっと自分の力をつけて今までにないキットカットを作りたい」などと話される大橋さんは、生き生きとされていました。
ネスレ日本は1913年に開業し、当時は練乳やミルクチョコレートを主力商品としていました。遠藤周作などが登場した「ネスカフェ」のCM・違いがわかる男シリーズは一世を風靡しましたよね。懐かしいCMですよねぇ…。日本に進出して100年以上経過した現在、ネスレ日本は抹茶商品に力を入れているとのこと。既に、定着しつつありますよね。
ある休日、「アリオ亀有」では「ネスカフェ ドルチェ グスト」試飲会が行われていました。井上さんは2017年2月から認知度を上げるために全国で試飲会を開催しています。カプセルを入れるだけでカフェ並のコーヒーを作れる機械は全国で260万台が普及しています。実は、我が家でも購入し、ほぼ毎日のように利用させてもらっています。カプセルの値段は1杯あたり約60円。専用カプセルを定期購入すればコーヒーマシンを無料でレンタルできるため、オフィスにも浸透しつつあるとのこと。
ネスレ日本は抹茶をコーヒー、チョコレートに次ぐ第3の柱にしようと売り出しています。2017年8月から京都府と接触し、ネスレ日本と京都府は「宇治抹茶の振興に関する連携協定」を締結しました。京都府職員は「京都には素晴らしいお茶があるのに府民もあまり認知していない」と話しています。ネスレ日本は自社の抹茶製品に宇治抹茶の情報を掲載し、お茶のイベントの告知まで載せています。抹茶には緑茶の約2倍のポリフェノールが含まれており、旨味成分のテアニンも豊富でリラックス効果が高いそうです。
ネスレは日本で市場を開いてから100年以上と、もはや老舗。この日登場した3人の働キーマンは、以下の様にネスレの事を話されました。「自分やりたいことがやれる場所」「自分が社会のために役に立っていると思わせてくれる場所」「一緒に成長していける場所」と・・・。提供される商品も魅力ある物が多くありますが、働く場所としても魅力あるようですね。だからこそ100年以上経過した今も、ワクワクするような商品が登場してくるのでしょうね。これからも楽しみです。
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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
…ということで,早速ですが、12月18日放送のガイアの夜明け『がんの「超」早期発見に挑む!〜日の丸ベンチャーの底力〜』の回、ご覧になられましたか? 今や、日本人の2人に1人がかかるという「がん」。早期発見できれば治る可能性も高くなってきているようですが、日本人のがん検診率は高くありません。考えてみれば、通常の定期健診の中には、検査料が高い為か含まれてもいないし、様々な種類があめので、受けるのも大変。
そんな中、日本のベンチャー企業が、簡便に受けることができる画期的な検査方法を生み出していました。必要なのは、尿1滴や唾液1滴。簡単で精度も高く、しかもこれまでと比べて検査料も安いというのだから、庶民にとっては有難いお話です。
最初に紹介されたのは、”虫”。検査に必要なのは“尿1滴”、しかも、がんのリスクを指摘してくれるのが“虫”というのだから、素人にはチンプンカンプン。そんな研究で今回紹介されていたのが「HIROTSUバイオサイエンス」という会社。がん患者の尿には独特の匂いがあり、それを”線虫”という体長わずか1mmの”虫”に嗅がせると寄っていき、健常者の尿からは逃げるというのです。しかも、最新の研究結果によると、その的中率はおよそ9割。今のところ、胃や大腸や肺などのメジャーながんは勿論、希少なものも含めて、18種類のがんに反応することが分かっているそうです。
線虫は人間や犬を上回る嗅覚を持ちますが、一般にありふれた生物なので培養も簡単。殆ど飼育コストもかからないため、安くて精度の高い検査が期待できるというのです。さらに尿1滴なら、検査を受ける人の負担にもならないのです。2020年1月の実用化を目指して、詰めの研究が進んでいるそうです。画期的な検査方法を生み出した広津崇亮さんは、こう話しておられました。
『今は、がんは致死の病で人類にとつて最大の敵だが、それを人類が克服できる時代が来るかもしれない。だからこそ、全世界に広げるにはどうしたらいいか考えていきたい。』と。
2番目に紹介されていたのが、唾液1滴でがんのリスクを判断する最新の検査法で、すでに実用化されているもの。がん細胞からは、代謝物と呼ばれるごく小さな特殊な成分が分泌されているそうです。そんな唾液に含まれる代謝物を調べることで、がん細胞がある可能性を高い精度で判定できるというものです。
現在、1回の検査で、肺がん、乳がん、大腸がん、口腔がん、すい臓がんの5種類のがんのリスクを判定できるそうです。この検査方法を生み出したのが、慶応大学発のベンチャー「サリバテック」の杉本昌弘さん。大手ソフトウェアメーカーのエンジニアをしていましたが、15年前に出向した慶応大学でがん細胞に含まれる代謝物の存在を知り、唾液を使ったがん検査の研究を始めたそうです。
そんな杉本さんは、4年前、研究者仲間をすい臓がんで亡くしています。がんで命を落とす人を一人でも減らしたいと日々奮闘。その努力が実り、2017年2月、唾液を使ったがん検査の実用化に成功したとのこと。今の杉本さんの課題は、もっと採用数を増やすこと。現在の検査費用は2万円以上と高いこともあり、26の医療機関にとどまっているそうです。
唾液を冷凍して運搬する今の方法では手間とコストがかかり検査数を一気に増やすことができません。どんなに良い検査でも、広く一般に広がらなければ意味がありません。そこで、杉本さんは、唾液を冷凍しなくても、痛めずにすむ容器の開発を行い、更に、分析作業も自動で行う装置の開発を進めていました。これらを実現することで、2割以上のコストダウンができるというのです。杉本さんは、こう話されていました。
『今日も明日もガンになる人はいる 普及を早くすれば 多くの人に意味が出てくる きちんと形にして届ける 淡々とそれをやるだけです』
日本人の2人に1人がかかるという「がん」。軍事費に莫大な税金を注ぎ込んでいくのではなくて、こうしたベンチャー企業をもっと支援しつつ、値段が高かったにしても普通の定期健診の中で、簡便に検査を受けていけるように、国のバックアップをしていって欲しいものです。
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12月13日放送のカンブリア宮殿『機能性の追求を武器に!スポーツメーカーのサバイバル経営』の回、ご覧になられましたか?ヨーロッパブランドひしめくダウンジャケットの中にあって、国内最強のダウンと称されるまでに成長している「水沢ダウン」。冬には売り切れになるという国産の高級ダウンです。毎年、セレクトショップで大人気となっているそうですが、さんな「水沢ダウン」を製造販売しているのが今回の主役となるスポーツメーカーの【デサント】。
デサントは社長の祖父、石本他家男が大阪で1935年に興した紳士服店「ツルヤ」からはじまったそうです。野球少年だった他家男は1953年に野球ユニホームの開発に成功。プロ野球の中日ドラゴンズに採用されると、1970年代後半には12球団中11球団のユニホームに採用されるまでになったのです。社名をデサントに変更したのは私が生まれた1961年。野球ユニホームだけでなく、スキーウエアの開発や海外スポーツブランドのライセンスビジネスにも着手。
1970年、アディダスとライセンス契約を結び、プ1997年には売り上げが1000億円を超える企業へと成長しますが、翌年の1998年、アディダスとの契約が解消されてしまいます。ヤマザキナビスコの旧『リッツ』を思い出しました…。デサントは売上の4割を占めていたアディダスがなくなると、赤字に転落し、窮地に陥ってしまうのです。
このアディダスショックを教訓として、その後自社ブランド強化に全社一丸となって取り組み、ものづくりの原点に戻って、ついに機能性を追求した水沢ダウンが誕生したのです。さらに、海外展開も強化した結果、2017年度には売り上げも過去最高の1411億円を達成。見事に自社ブランドで立て直していったのです。凄いじゃないですか!!
ちなみに「水沢」というのは工場のある岩手県の地名からとられたそうで、もともとは2010年バンクーバー五輪で日本選手団に提供するために全社を挙げて開発し、五輪に先がけ2008年から一般販売されたそうです。究極の機能性を追求した結果、他のダウンとは一線を画すシンプルで洗練されたデザインに帰着。発売以来、トレンドに左右されないことも人気の秘密となっているんだとか。
「水沢ダウン」の高機能を実現しているのは、工場のベテラン職人たち。スポーツなどプロ仕様の商品開発に強みを持つデサントは、メジャーリーグで大活躍の大谷選手のアンダーウエアや、サッカー元日本代表の遠藤選手のシューズ、水泳の瀬戸選手のスイムウエアなど、100名以上の一流スポーツ選手をサポートしているそうです。デサントは、こうしたトップ選手の本格的スポーツウェア技術を、広く一般の人にも使えるように商品を展開しています。こうした高機能を武器に、デサントは売り上げを伸ばしていたのです。
デサントは、商品の企画開発力が競争力の源泉と位置づけています。2018年7月に大阪府茨木市にスポーツウェアの開発拠点を新しく開設した。人工気象室、人工降雨室、全天候型トラックなど最新鋭の施設には、デサント契約のプロスポーツ選手たちが製品のフィードバックにしばしば訪れ、番組ではサッカーの遠藤さんが映されていました。デサントの商品開発は創業当時から、トップ選手の意見を聞くことに徹底しています。それが高い機能性につながり、一般販売しても快適に着てもらえるウェアになっていたのです。
いつもの「村上龍の編集後記」では、こんな事が書かれていました。
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創業者は、4度も召集され、戦後、最終的に、スポーツウエアの開発・生産を選んだ。平和とは何かを示すエピソードだ。アディダスから契約を解消され、重大な危機を迎えたが、生き延びた。むしろショックをバネにして、業績を回復させた。私見だが、その企業理念には、スポーツマインドが中核としてある。デサントとは仏語で滑降だが、他に暴落という意味もあり、社名として反対の声もあった。「社名は辞書ではなく現実で生きる」創業者の言葉だ。デサントは現実を生き、そして今、象徴のような、画期的なダウンを作り上げた。
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創業者の言葉
『トッププレーヤーはトップレベルのユーザーでもある』
デサントの社名の意味は
【優しく怖い人、うちには厳しく外には優しい】とのこと。
村上さんが『格好良い!』と言っていたのも印象的でした。
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さてさて【人生100年時代を生きる】も、今回で最終としたいと思いますが、ここからはテレビとは無関係です。
迫りくる長寿化時代に備え、戦略的な人生の過ごし方を説いた『LIFE SHIFT(ライフシフト)100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)という本が話題になっているそうです。そんな中、平成29年9月11日に第1回【人生100年時代構想会議】なるものがスタートしています。これは、人生100年時代を見据えた経済・社会システムを実現するための政策のグランドデザインに係る検討を行うため、内閣総理大臣の安倍晋三が議長を務める会議です。
人生100年時代構想会議の具体的なテーマは、こうです。
① 全ての⼈に開かれた教育機会の確保、負担軽減、無償化、そして、何歳になっても学び直しができるリカレント教育
② これらの課題に対応した⾼等教育改⾰・⼤学にしても、これまでの若い学⽣を対象にした⼀般教養の提供では、社会のニーズに応えられないのではないか。
③ 新卒⼀括採⽤だけでない企業の⼈材採⽤の多元化、そして多様な形の⾼齢者雇⽤、これが有能な⼈材確保のカギであり、企業にしてもこれまでの新卒⼀括採⽤だけではやっていけない。
④ これまでの若年者・学⽣、成⼈・勤労者、退職した⾼齢者という3つのステージを前提に、⾼齢者向け給付が中⼼となっている社会保障制度 を全世代型社会保障へ改⾰していく。
そして、今年の6月、基本構想が打ち出されています。詳しくは、こちらで・・・
【人づくり革命 基本構想 平成30年6月】
日本は世界トップクラスの長寿国で、今や男性の4人に1人が90歳、女性の4人に1人が95歳まで生きる時代。超長寿化時代を謳歌するには、マネープランについても「人生100年」を視野に入れる必要がありそうです。いや、肝心なのは、生き抜くためのお金…。自分が何歳まで生きられるのか、統計データをチェックし、ある程度の目測を立てること。
日本人の平均寿命は、男性は80.98歳、女性は87.14歳(厚生労働省 2016年)。長寿化によるマネープランへの影響は避けがたく、リタイア後の収入は年金だけで十分なのか?気になるところです。当たり前の事ですが、人生100年時代となると、お金も100歳まで備える必要が出てきます。
あるシミュレーションによると、夫が50歳時点で700万円あった貯蓄残高は、子供の教育費の負担により一旦減少。子供が社会に出て自立していくと微増に転じ、退職時に退職金でピークに達します。65歳以降は年金生活となり貯蓄残高は徐々に減っていきます。そして・・・なんと75歳にして遂にマイナスに転じてしまうのです。
このシミュレーションを改善する為の中身はこうでした。50歳時点の貯蓄残高を1,500万円。65歳からは生きがいとなる仕事を見つけて、夫婦合わせて月10万円(年120万円)の収入を得、基本生活費を月28万円で押さえるようにして75歳まで働く。こうすることで100歳時点でもなんとか黒字を保てると言うのです。貴方は、65歳から75歳まで働けるところを見つけられそうですか?それ以前の貯蓄残高・・・どれだけ残せそうですか??
人生100年時代に向けての生活設計をする上で、気になるのが、やはり定年後の収入のベースとなる年金。自分の年金額は毎年誕生月に郵送される『ねんきん定期便』でチェックできるので、次の機会にはしっかり見ておきましょうね。そして、お金の不安を解消する為に、年金生活に入ってからの収入と支出の目安を立てることが大切。
年金収入だけでは家計が赤字になると予測できる場合には、ほかの収入の道を探すなど対策を講じていかなければならないのです。老後の生活費は現役時代より少なく済むのが一般的で、目安としては、現役時代の7割と言われているそうです。年金生活が始まっても、お金持ちでない限り、元気なうちは働いて収入を得ることを考えなくてはなりません。
今のうちから、定年後にどんな仕事をしようか考えておくことも重要になってくるわけですね。40~50代のうちから『自分が本当に好きなこと、得意なことは何だろう』と考え、関連する資格の取得などにチャレンジすることを推奨しています。
そして、最後に関わってくるのが続けて描いてきた【【人生100年時代を生きる】にも書かれていた…長寿化の大きなリスク…【病気と介護】。まとまったお金が一気に減ることもあるので、病気や介護の費用は生活費とは別建てで準備しておかなければなりません。一つの目安は1世帯800万円(内訳は介護費用として550万円、医療費として250万円)。介護については在宅介護中心で、公的介護保険+αぐらいの費用がかかるサービスを受けるという前提での金額とのこと。
医療制度もどんどん変更され、負担も増える傾向にあったり?するので…この先まで考えていくと、働けるだけ働いて対策を講じていく必要がありそうですが、年金生活に入ってから働くと、何故か得た収入に応じて年金が減額されてしまうという現実もあったりして・・・残酷な世の中ですよねぇ・・・とりあえず、年金については手続きも含めて、充分学習しておく必要がありそうです!! 貯蓄できずにローンばかり増えている私なんぞは、このままでは破綻ですよ。破綻!!・・・・・
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NHKのシリーズ「人生100年時代を生きる」、第2回のテーマでは『終末期医療』について扱われていました。ゲストの阿川佐和子さんは、3年前に父・弘之氏を、延命医療をしないで自然な形で看取った経験の持ち主。「穏やかな最期はどのように迎えることができるのか」、悩んできたそうです。
これまで国は社会保障費の抑制を図るため、高齢者の最期を支える場所を「病院」から「自宅」へと方針転換。にもかかわらず、看取りの段階になって病院に運ばれ、そのまま延命医療を長期間受け続けてしまうという事態が頻発していました。最先端の医療設備が整う救命救急センターでは、80歳以上の高齢者が次々と運び込まれてベッドが満床になることもあるそうです。家族は、意識が戻らないまま横たわる親の姿を見て「こんなはずではなかった」と悔いることになります。
番組では、学会と連携して、全国の救命救急センターへの調査を実施。国が進めてきた医療改革が、現場にどのような歪みをもたらしているのか、そして、患者の人生の最期に、医療はどう寄り添えばいいのか、現場で始まっている「延命中止」の取り組みを通して考えていきます。
人生100年時代について、100歳以上の高齢者の数は現在7万人。2015年には13万人、2050年には53万人になっているという推計が出ているそうです。また国の調査として回答者の9割は延命措置を受けず、自然に任せて欲しいという結果が出ています。しかし現実には医療機関で長生きし、更に人工透析などで延命措置が行われているとのこと。
多くの高齢者が人工透析を受けているある病院では血圧の低下を知らせる警報があちらこちらで鳴っていました。透析困難症という症状。以前はこの治療を断念せざるを得なかったそうですが、医療技術が向上したことで、現在は衰弱が進んだ高齢者でも透析が続けられるようになったのです。80歳以上で透析を受けている患者は6万人で300倍に増えています。
しかし高齢化により思わぬ問題も増えていました。本人の意思が確認出来ず透析を続ける事態が広がっていたのです。取材をした女性は透析治療の間に認知症を発症。治療のことが分からず管を抜いてしまうことがあるのです。そのため家族の許可を得て拘束して治療をせざるを得ません。70人の病院患者のうち9割が認知症を発症。人工透析は1日4時間で週3回行われていました。理事長は透析のために生きている…「生かされている状況」になってしまうと語られていました。
救急医療の現場に100歳近くの終末期の患者が次々と運び込まれています。医師は終末期の患者だと分かっていても救命のために全力を尽くします。結果、意識が戻らず、人工呼吸器を付けて命を繋げることもあるのです。意識が戻らないから呼吸器を外せない…こうしたことに難しさが生じていたのです。
国は、高齢者を自宅へと移す医療制度改革を実行してきました。高齢者は在宅医など自宅で最期を迎えることを想定していましたが、結局、もしもの時に家族では命の終わりかどうかの判断がつかず、救急車を呼ぶケースが続出。一度呼吸器を付けてしまうと、そのまま判断しにくい状態となって、結果的に救命救急センターで延命医療を受けるケースが増えているというのです。
ある調査では85歳以上の高齢者が一度心肺停止になると、『人工呼吸器が外れ、退院できる』確率は0.5%とのこと。ある6年間入院している男性は、脳梗塞の影響で会話が殆どできませんが、毎日病院を訪れる奥様は、自らの生きる支えになっていると話しています。入院生活がいつまで続くのか先行きが見えないまま、行けるとこまで行くしかないのかなと話されていました。
延命医療を否定的に捉えるか肯定的に捉えるかは本人次第。透析療法によって社会生活が維持出来る場合と、認知症によって、自身の判断で維持するのは難しくなり、それが本人のための透析なのか考えなければならない時代になっているようです。NHKが全国の救急救命センターに行ったアンケートによると、終末期の高齢者が搬送されることについて問題があると答えたのは55%。おおいに問題があると答えたのは31%。家族の誰もがやりきれない気持ちになるという意見も伝えられました。
ここ数年に医学会や国のガイドラインは延命医療の中止に関するガイドラインを相次いで発表しているそうです。終末期の患者に対し、本人の意思を尊重、家族などとよく話し合い、医療チームでも検討され、不開始や中止が可能となっているようです。
そんな中、延命医療の中止という選択肢により、重い問いに直面する家族が紹介されました。救急医療の現場では、ガイドラインに沿って人工呼吸器を外す選択肢を示すところも出てきているとのこと。意識の戻る可能性が極めて低い患者の家族は、延命医療は望まない決断をしました。抜管から1時間後、患者は息を引き取ります。辛い時間が流れました。
救急救命センターへのアンケートによると、生命維持装置の中止という選択肢を示しているのは、117施設のうち46施設。現場の医師からは、死を人ごとだと思っている日本人が大部分で、急変時にどうしていいか分からないケースが多いという声が上がっているそうです。どのような最期を迎えたいかについて、患者のAさんは病院からの事前指示書に、重度の認知症になった場合は透析を希望しないと記しました。奥様に重い負担を掛ける前に、人生の終わり方を自分で決めたいと考えたのです。しかし、奥様は一日でも長生きして欲しいと願っています・・・。
最近では、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)という取り組みが始まっているそうです。ACPでは第三者が患者や家族と対話を重ね、生かすか殺すかではなくて、患者自身が最期に望む医療を共に考えていきます。番組に登場された医師は、介護スタッフらと勉強会を開き、取り組みの担い手を、医師以外にも広げようとしていました。認知症などで本人の意思を確かめられない場合、家族との過去の思い出や介護スタッフの話から、本人がどのような最期を迎えたいと考えていたか、本人の希望を探っていくのです。夫婦で考えに違いがある場合などは、溝を埋めてくれる役目の人が必要だとも話されていました。
1年前から夫が人工透析を受けているという夫妻は、病院からの事前指示書に初めて向き合い、人生の最期を考える中で、今を生きる大切さを感じるようになったと話されていました。
【人生100年時代を生きる】・・・。健康な状態で死の直前まで、自分の意志を持って生きられるのなら良いのですが、医療技術の進歩によって自分の意志が伝えられなくなっても、生かされるという現実を迎えてしまったらと思うと、様々な事を考えさせられてしまいます。自分の考えだけでなく、「こんな形で死なせたくない」という家族の思いや、「今はまだ、生きていて欲しい」そんな家族の思いまで考えていくと、個人の死であっても、家族で話し合っておくことも大切なことなのかもしれませんね。それは、結局、どう死ぬかではなくて、どう生きていくのかに繋がっていくものかもしれないことを教えられた気がします。
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NHKスペシャル【人生100年時代を生きる】『第1回 終の住処はどこに』…人生100年時代を迎える日本が抱える課題を見つめ、解決の糸口を探るシリーズご覧になられましたか?3年前に父を看取り、現在も母親を介護する、作家の阿川佐和子さんとともに、2日連続で放送されましたが、1回目のテーマは、お年寄りが安心して暮らすための『終(つい)の住処(すみか)』についてでした。
比較的安く手厚い介護が受けられる「特別養護老人ホーム(特養)」の待機者が30万人を超えるなか、国は施設の担い手を“官から民”へと転換しようとしています。その切り札として、7年前に導入されたのが、民間事業者が運営する「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」。ところが、そんな「サービス付高齢者向け住宅」では、終の住処からの退去をお願いするケースが増えているという話。
要介護者の数は2015年には620万人、そして2035年には960万人に増える見込みで、終の住処が大幅に不足するとみられていますが、軽度の要介護者の受け皿にしようと、国が規制緩和をし、多額の補助金を投入して整備を推し進めているにもかかわらず、現場では、様々な矛盾が吹き出していました。要介護度は低くても勝手に施設を出て徘徊してしまう“動き回る認知症高齢者”を数多く抱え、対応に追われる施設が限界を迎えると、退去をお願いするしかなくなってしまうというのです。
特別養護老人ホームは要介護3以上の人しか入所できず、サ高住は要介護度が低い人の受け皿として期待されていたのですが、サ高住の法律上の位置づけは住宅となっており、部屋は個室で職員が安否確認などを行っていかなくてはなりません。番組に登場していた幻覚に襲われて職員を呼び出す老人は、要介護2と、介護度は低く、本来介護の手間がかからないと思われていましたが、認知症で身体の自由が効くひとは、かえって負担が大きくなってしまうという困った状態。
NHKの調査では、サ高住に入居する認知症の割合が55%にものぼることが分かってきたのです。にも拘らず、国の職員配置基準は日中少なくとも1人となっており、必要と思われる人数を配置していこうとすると経営が大きく圧迫されてしまうという展開で、1人にかかる負担は信じられないほどになっており、それに伴って、そこで暮らす老人の命の危険も増してしまっているのです。サービス付き高齢者向け住宅での事故は昨年度3,334件発生し、死亡が179件だったととのこと・・・。
認知症の発症率を示したデータでは85歳以上の人が5割を占めていました。登場されていた先生によると「認知症の高齢者は要介護認定の結果が軽く出る傾向にある。要介護認定の結果が軽く出ると訪問ヘルパーの回数も減る」と指摘されていました。要介護度が高い高齢者を中心に受け入れているサ高住では、赤字経営から抜け出すため要介護度が高い人を集める方針を打ち出したりもしています。
NHKのアンケート調査でも「要介護度が低いことを理由に入居を断らざるを得ない」という声が寄せられているとか…。阿川さんは「介護難民が出てきたって感じ」とコメントしていました。要介護度が低くなると事を喜べない矛盾が起こっており、厚生労働省の方も「現場の介護者の負担、手間のかかり具合。要介護認定で反映するというのは大事だと思っている。介護給付費を検討する審議会で検討していきたい」と説明していましたが、どこまでできるやら・・・。
そんな中、要介護度を改善する取り組みを行っているサ高住がありました。要介護度が改善すると介護報酬は減りサ高住の収入は減ってしまうのですが、そのサ高住では1月の料金を一般的な額より3万円高く設定することで、改善策を積極的に取り入れていたのです。60室は満室になり、なんとか採算がとれているようでした。入居者で94歳の方は医師から歩くことは難しいと告げられていたが、ここでリハビリを始めて半年…短い期間なら杖を使って歩けるようにまでなったのです。
利用者のニーズに答えようと特色を打ち出すサ高住として、看護師の資格をもつ職員が常駐し、医療処置を行っているところがあげられていました。特別養護老人ホームと比べれば人手も少なくリスクもあるため入居を希望する人にリスクがあることを、あえて伝えるようにもしていました。
阿川さんは「これだけ施設が出来てくるとマンション探しと同じように、元気なうちにあちこちを見て回る」と先生から教えられたことを教えてくれました。高野准教授は「アメリカでは老人ホームの介護の質を誰にでも分かる形で公表している。日本でも情報を公的機関が収集をしてその情報提供は必要と思う」と説明されていました。
阿川さんは「介護する側の都合で制度をつくるのではなく、介護される側の気持ちを入念に拾っていくことをしていかないといけないと思う」とまとめられました。『年を取って豊かな生活なんて、そもそも無理。身体は自由が効かなくなり、収入もなくなり…』と厳しい現実が話されていました。
長生きを喜んで迎える為には【健康な体】と【生活を支えてくれる収入】や【環境】…そんな、揃って欲しい条件が数多くあります。それが全て満たされるなんてことは、なかなかないんだということを、確かに受け止めて、これからの生き方について考えなければならないのでしょうねぇ・・・
エンディングノートについて、以前も考えていかなければと話しましたが、シリーズ第2回では、これについても考えさせられる回となっていました。続きは、次回のブログにて・・・
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1月27日放送のガイアの夜明け『追跡!日の丸プロジェクト②「稼げる!驚きの"野菜"革命」』の回、ご覧になられましたか?
早いもので師走を迎えていますが、今年の夏は、命に危険が及ぶほどの猛暑、これでもかと連続してやってきた台風。年間通しても、終わる事のない地震など、自然の脅威に晒された日本でした。自然災害の影響を受けやすい農業も、水不足などで大きな被害を受け、悲しいかな野菜の価格も高騰し、買わずに我慢する事の出来ない物だけに、消費者にも影響が広がりました。
予想外の自然災害に加えて、農業は、担い手の高齢化、後継者不足、耕作放棄地の増加も深刻化しています。それらの問題を一気に解決しようというプロジェクトが今、動き出しているというのが今回のお話。「災害に強く」て、「作物の安定供給」が可能。更に、消費者には「安い野菜」が提供できて、「誰でも簡単に稼げる」という夢のような取り組みです。
今回の主役は、福岡県に拠点を置く「グリーンリバーホールディングス」という、建設現場の足場から新幹線の工事まで手がけるベンチャー企業。2012年に太陽光発電所建設に参入し、独自の特許工法で九州のメガソーラー施工のなんと4割のシェアを持つと言います。グリーンリバー・社長の長瀬さんは「太陽光事業は建設して終わり」「発電したエネルギーも都会へ送られる」と、地元の安定的な雇用につながり、地方が活性化できる事業を模索していました。
そこで建設のノウハウを生かしてIoTを駆使した「スマートハウス」を開発。葉物野菜ならなんでも効率的に栽培できる方法を確立したのです。去年9月からは、岩手県八幡平市の放棄されたビニールハウス100棟を再生し、作物の栽培をスタート。大手スーパーや「俺のイタリアン」などの飲食店にも少しずつ供給を始めるまでに育っています。このノウハウをビジネスモデルとして全国に展開することが社長の目標でした。
7月、社長の長瀬さんは、福岡県久留米市にある5,000平米の耕作放棄地に4棟の「スマートハウス」を建設。農業経験「ゼロ」の企業を訪ねては「作物の管理はほぼ全て、グリーンリバーが担当。農業に参入する人は、日常的な作業と収穫作業をこなせばいいだけ」と参加を呼びかけました。「1日5時間程度働いて、しかも週休2日」も売り文句。「きつい、汚い、儲からない」というこれまでの農業のマイナスイメージを、一変させようというのです。
興味を示したのが、地元の建設会社や農業資材販売会社。将来の事業展開に悩んでいましたが、新しい収益の柱を打ち立てられずにいた企業です。“素人”企業を巻き込んで、いよいよ作物の栽培がスタート。想定外の環境から、ダニの被害を受けてしまうなどのトラブルもありましたが、なんとか対策を講じる事も出来、無事軌道に乗っていきます。
これまでの安定供給できる水耕栽培は、照明を当てて水平の環境で育成していた為に、コストが掛かる割に大量に生産する事が出来ず、できた農産物も値段が高くなってしまうという欠点がありました。
しかし、今回の「スマートハウス」は縦型水耕栽培農法を用いて、太陽の光で育て、水平ではなく縦に配置された野菜のマンションの様な環境で収穫も簡単。労働の軽減によるビニールハウスの高収益化が図れ、クラウドでビニールハウス内の環境制御を行う栽培管理システムまで導入されることで、新規就農者のスタートアップが支援されるのです。
「きつい、汚い、儲からない」・・・そんなイメージを覆して、誰にも優しい農業が生まれれば、耕作放棄地に困っている人も、消費者も大助かりですよね。今後も注目したい取り組みです!!
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11月13日放送の【ガイアの夜明け】『シリーズ「東京新名所ウォーズ」第4弾~上野、深川 下町チャレンジ!』の回、ご覧になられましたか?オリンピック開催を2020年に控え、今、東京の街が各所で変貌を遂げています。そして、その波が下町エリアにも及び、活性化し始めているとのこと。古き良き伝統が受け継がれる一方、新たな試みの店やホテルが続々と登場し、地元の人とコラボして地元と共に盛り上げていくというのが今回のお話でした。
東京はご存知『上野』。アメ横に上野動物園、三菱財閥を創業した岩崎家の旧岩崎邸庭園に、世界遺産の国立西洋美術館などもある「観光資源の宝庫」です。ところが、何故か「宿泊して滞在を楽しむ地」として認識されて来なかったため、高級ホテルは少なく通過されてしまう勿体なさ…。
そんな上野でホテル事業に乗り出したのが、不動産大手の野村不動産でした。「プラウド」シリーズなどの高級マンションで有名ですが、ホテルを手がけるのは今回が初めてだそうです。目指すのは“上野のディープな魅力を伝える”ホテル。そこで、現場を任された中村さんが注目したのは、地元の伝統工芸でした。
実は、上野は代々続く工房が軒を連ねる、知られざる「職人の町」。中村さんは2年かけて工房をまわり、ホテルの装飾品や備品の製作を依頼。ホテルが宿泊客と職人を繋ぐことで、地元の産業を盛り上げるのが狙いとのこと。しかし、ホテルが求めるものと職人の拘りが食い違う事も多く、意見が衝突してしまうことも多かったようです。また、ホテルの要であるサービス面でも、接客スタッフたちの勉強不足で、職人が製作した作品への理解が不足していた為、その「こだわり」をきちんと宿泊客に伝えることはできるのか…不安はつのるばかりでした。
そこで中村さんが行ったのが、スタッフを連れての職人の工房見学。職人技を目の当たりにしていく事で、お互いに理解を深め、良い流れに変えていったのです。ホテルがオープンして宿泊客が職人の工芸品に触れると、その工芸品に触れたお客が、工芸品の購入を目的に工房を訪れるという映像が流されていました。地元とホテルの連携、素敵な流れでした。
東京は下町の代表格『深川』。富岡八幡宮をはじめとする江戸情緒が残り、風情溢れる居酒屋が軒を連ねる下町です。そこに、一際盛り上がっている店が、2年前にオープンした「深川ワイナリー東京」。その名の通り、店の隣でワインの醸造を行っていました。 深川を“ワイン”で盛り上げようと始めたのが、中本さん。
そんな中本さんが更なる展開の舞台にと目を付けたのが、地元の老舗スーパー「赤札堂」の屋上でした。かつては遊具コーナーなどがあり子どもたちで賑わっていたそうですが、少子化もあり今は使われていません。そこに、ビアガーデンならぬ“ワインガーデン”をオープンしようというのです。
今回は、店で出されるメニューを「赤札堂で実際に購入できる食材」で作るという仕掛けを盛り込んでいます。店を訪れたお客が、食材を気に入ってくれたなら、帰りに赤札堂で買い物をして帰ってもらう…ワインガーデンとスーパーの相乗効果を狙った作戦です。こういうのって実演販売と同じで、欲しくなってしまうんですよねぇ…。
また、自分のお店だけでなく、他の志ある業態も巻き込んだお祭りの屋台群のような形にして、ワインだけでなく色々な飲食が楽しめる場所をも目指していました。会社帰りや、お休みの日のお食事に…また、美味しいものがあれば帰りにスーパーで買って帰る…物語ができているのでうまく行かない訳がないですよね。
今回紹介された2つケースは「東京の下町」というお話でしたが、こんな展開、他でもうまく行くのではないでしょうか。こんな場所、もっと増殖して欲しいものです!!
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