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プロ棋士を目指す事の厳しさを描いた『盤上のアルファ』

2019-2-28 NEW!
カテゴリ:つぶやき

 

塩田武士さん作の小説で、デビュー作に当たる本作は、大学卒業後に入った神戸新聞社・将棋担当記者としての取材経験を活かして、約1年がかりで書き上げた小説。第5回小説現代長編新人賞選考会満場一致のパーフェクト受賞、第23回将棋ペンクラブ大賞を手にしています。

 

今回ブログで書かせて頂こうと思ったのは、BSプレミアムドラマ「盤上のアルファ~約束の将棋~」…初の映像化となったテレビ放送を見たことがきっかけとなりました。作品は、昨今、藤井聡太さんの登場や大記録を成し遂げた羽生善治さんを中心とした、空前のブームに沸く将棋界が舞台。部署替えで島流しにあった記者と、一度は退会処分となったプロ棋士を目指す2人の男の復活劇。更には、彼らを愛する人々の人間模様を描いた、熱くも…泣きあり笑いありの秀作ドラマとなっていました。プロ棋士を目指す本作を通して、将棋界のルールを殆ど知らなかった私にとっては、厳しい世界を教えられ、ますます羽生さんや藤井さんに向ける尊敬の念も増したのであります。

 

プロ棋士を志望する場合、日本将棋連盟が主宰する東西の「新進棋士奨励会」に入会するというのが主流の方法で、奨励会に入会する為には連盟正会員である四段以上のプロ棋士から推薦を受けた上で入会試験を受けなければなりません。ただし、連盟が主催する小中学生向けのアマチュア大会で好成績を収めている場合、プロ棋士からの推薦が免除されます。

 

厳しいのはここからで、「奨励会」に入れば必ずプロへの道が約束されるというものではないという事。奨励会には年齢制限があり、満23歳の誕生日までに初段、満26歳の誕生日までに四段に昇格できなければ退会処分となります。四段になる前の三段リーグは、年に2度行われ、各々18戦ずつを戦うことになりますが、いずれかで1位か2位になっていなければ昇段できないため、毎年四人分しか席が開いていないという狭き門。ドラマでは年齢制限を迎えて夢を諦めていく人のやりきれない気持ちを伺うこともできましたが、ドラマの主人公の一人は、そうして一度は諦めた世界に、特別ルールを使って復活しようとする姿を描いており、痛快でありました。

 

その特別ルールが話のメインとなる「三段編入試験」。受験資格は、過去1年の6つのアマチュア全国大会(アマ竜王、アマ名人、朝日アマ名人、アマ王将、赤旗名人、支部名人)のいずれかで優勝し、四段以上のプロ棋士(日本将棋連盟正会員)から奨励会受験の推薦を得ること。優勝1回に付き受験1回可能で、試験は受験者を二段扱いとして、奨励会二段と最大8局対局し6勝で三段に編入することができます。ドラマの中では合格するまでが描かれていますが、三段リーグ編入試験に合格することで、年齢に関係なく三段リーグに参加することができますが、有効なのは最長2年間。三段リーグ在籍中に二段降段となった場合は退会となり、三段リーグの参加資格の勝ち越し延長も認められていないので、ドラマの最後で「これからだ!」と言っていたことの意味がよくわかります。

 

今回のBSプレミアムのもう一つの見どころは、実際のプロ棋士がゲスト出演していること。第1回が羽生善治 九段、第2回が加藤一二三 九段が登場してい来ると、他に誰が出てくるのかと違う興味も湧いてくるではありませんか。隠しキャラとして、同じく第2回には門倉啓太 五段、第3回は親子棋士として森下卓 九段が息子さんと…。こうなると最終回は藤井聡太さんに違いないと思っていたのですが、なんと最終回は意表をついての竹俣紅 女流初段。

 

「女流棋士と来たかぁ」と読みは見事に外されましたが、肝心なのは物語の方なので脱線はここまでにして、観終わった後に引っかかるものが多い昨今にあって、誰も嫌な奴が登場せず、スッキリと気持ち良い余韻を残してもらえたドラマとなっていました。プロになるまでの続編を描いたドラマ、できたら観てみたいものです。再放送された際には、見逃された方、是非、ご覧ください。藤井聡太さんの凄さが、きっと再確認できるはずですよ。
 

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