10月19日放送のカンブリア宮殿『革新的家電を続々開発!躍進するバルミューダの秘密』ご覧
になられましたか?今、何かと注目を集めている革新的な家電メーカー『バルミューダ』。
2003年創業で、社員わずか69人の会社ながら、自然な風を再現する扇風機や、食パンをふっくら
と焼き上げるトースター、水蒸気で炊き上げる炊飯器などの革新的家電を次々と発売し、今や
大手メーカーも後続で類似品を出してくるほど・・・一目置く存在となっています。
そんな会社の寺尾社長は、創業した時、家電メーカーなどに務めた経験もないド素人でした。
17歳の高校生の時、「自分の将来の職業に関するアンケート」があったそうで、当時、「絶対に
書いてはならない」と思ったそうです。たまに「絶対に嫌だ!」と思うことがあるそうで、村上
龍さんに「適当に書けばよかったのでは?」と聞かれると「自分の持ち物の中で、最も素晴ら
しいものは可能性だと思っているんです。だから、適当に書くことは自分が持つ可能性に対する
裏切り行為になる気がしたんです。」と…。
そんな理由で17歳にして高校を中退しヨーロッパを放浪。その後、10年間、ミュージシャンと
して活動していましたが、「努力しても叶わない夢がある」ことに気付くと、音楽活動に限界を
感じ、一転ものづくりを志していきます。
工作機械を貸してくれる親切な町工場に出会うと、パソコン冷却台を自作。これが第1号の
商品となったそうです。その後、LEDライトなどを製作し、新たな夢は軌道に乗ったかに見え
ますが、2008年のリーマンショックで倒産寸前に・・・。落ち組む寺尾は、たまたま通りがかった
ファミレスの前であることに気づきます。「自分の商品が売れなかったのは本当に必要とされ
る商品ではなかったからだ」と。
「人に必要とされるものを作りたい」と思い始めると、工場で回されている扇風機が後ろ向きに
なっている事に疑問を持ちます。「壁に当たった方が、風は優しくなる」と先輩に言われると、
なぜ優しくなるのか?その感覚を理解する為に流体力学まで勉強し、「自然の風を再現する
扇風機」の開発に乗り出していきます。
試行錯誤の末、画期的な扇風機の開発に成功しますが、今度は量産する為の資金がありません。
そこで寺尾社長は、その扇風機に使われるモーターを作っている会社に6,000万円の支援を求め
たのです。求められた会社の代表は、本来全く関係のない話なので断るのが普通と思いきや、
その熱意に押されて出資を決意。結果的に扇風機が爆発的に売れる事で、そのモーターを作って
いた会社も大きな利益を得る展開になったのです。
一昨年発売された『トースター』は、独自のスチーム噴射によってこれまでにない食感に焼き
あげる特徴が受け、30万台以上の大ヒットとなったそうですが、試食したアシスタントの小池
栄子さんの驚く様子は半端ではありませんでした。パン好きな私も、是非欲しいと思っている
物です。
「常識を疑うことからものづくりは始まる」と話す寺尾社長。多くの大手家電メーカーが不振
に陥る中、次々とヒットを生み出すバルミューダは、昔のソニーを思わせる一面もありますが、
「モノを売るのではなく、体験を売ること。嬉しい体験をしてもらいたい」と語る寺尾社長。
村上龍さんが寺尾社長に指摘した事…。これまで寺尾社長が人に相談することなく選択してき
た生き方は、「スイッチが入ると止められない」という性格にあって、良い協力者に出会って
きたのは、幸運でも奇跡でもなくて、出会うまで探し続けたからだと。
また、編集後記ではこんな事も言っていました。『新しい何かを生みだす人は、必ず協力者に
出会う。消費者の需要をイメージするのはむずかしい。それは、開発というより創造だ。今後、
家電は、製品ではなく、作品になっていくのかもしれない。』
ワクワクする体験…生活を豊かにしてくれそうですよね。