7月20日放送の世界!ニッポン行きたい人応援団!『”からくり人形”心から愛すカナダ人
ご招待!』の回ご覧になられましたか?からくり人形を心から愛してやまないカナダのジャ
スティンさんが今回の主役。
ジャスティンさんは、エンジニアの仕事をしながら、本やインターネットを見て、からくり
人形を試行錯誤しながら自作しています。からくり人形師の玉屋庄兵衛さんに会って、伝統
的なからくり人形の作り方や素材を見せてもらうのが夢だとか…。
まず向かったのは、なんといきなり直球勝負の江戸時代から九代続く玉屋庄兵衛さんの工房。
さっそく憧れの九代目が手掛けた作品「茶運び人形」が動く様子を見せてもらいます。衣装を
脱がせた状態のからくり人形を見ると、使われる部位に分けて、7種類もの木材が使用されて
いることが分かりました。
ジャスティンさんが憧れ、からくり人形の最高傑作ともいわれる「弓曳童子」も見せてもらえ
ます。玉屋さんが一年がかりで複製したものです。最後に放たれた矢が外れるのを見て
苦笑いしながらジャスティンさんが「1本外しましたね」と言うと、玉屋さんが「見る人を
飽きさせないよう、4本中1本は、あえて的を外すように作ってある。」と答えます。
ジャスティンさんが驚きながら「どうやって?」と尋ねると、矢の4本中1本だけ、羽の一部を
短くカットして、的から外れるようにしてあると笑いながら教えてくれます。放たれる矢
まで精巧に作られている事がよく分かりました。
ジャスティンさんがカナダで作った「茶運び人形」を見てもらうと、技術の高さに感心する
玉屋さんですが、歯車のガタを指摘しました。ジャスティンさんが作った歯車は1枚の板で
作られていたため木目が横になっている所の歯が欠けやすくなっているというのです。
玉屋さんの歯車は、全ての歯に対して木目が縦。カットされたピザのように、8枚に切り
分けられた木片を、3ヶ月もかけて縦目が歯の部分に来るように放射状に2枚ずつ貼り合
わせ、乾くと、また2枚を貼り合わせ…根気よく接着され、全てが接着されると、今度は
叩きつけてもヒビが入らないことを確認した上で歯を刻んでいくのです!細部まで気を配っ
ている日本人らしい作業です。
からくり人形の顔彫りでは、能面と同じように角度によって表情が変わるように計算されて
作られている事を教えられます。75種類もの彫刻刀やのみを使い分け、3日間かけて丹念に
顔を彫りあげたかと思うと、出来上がった顔を真っ二つに割ってしまう玉屋さん。これには
ジャスティンさんもビックリ。実はこれ、木を腐敗させないように中をくり抜くことで200年
も同じ状態を保てるようにする為だとか…。本当にひたすら感心するばかりでした。
日本一の木彫りの街として知られる富山・南砺市の井波では、十代目を継ぐべく玉屋さんの
息子さんが親元を離れて修行されていました。素敵な親子の繋がりも感じることができま
した。ここでは、自分だけの一生の道具となる彫刻刀の作り方を教えてもらっていました。
日本人でもなかなか体験できない貴重な時間を過ごされていました。
彫り師の岩倉さんからは、彫刻刀を研ぐための砥石と仕上げ用の砥石。玉屋さんからは、
顔がうまく作れないというジャスティンさんが顔彫りが上手くできるようにと、玉屋さん
ご自身が作られた"からくり人形"の顔をプレゼントしてもらいました。
最後には、世界に2体しか現存しないという、東洋のエジソン・田中久重が生み出した
「文字書きからくり人形」の現物も見られて興奮冷めやらぬ中帰国されていきました。
いつもながら良い番組です。招かれる人の"熱心さ""情熱"が、受けいれる人たちの心を
動かし、サプライズの連続。そして見ている私たちにも感動を与えてくれるのです!
毎回毎回、楽しみです。