9月30日テレビ東京で放送された『起業人のキセキ 業界の常識を打ち破れ』ご覧になられまし
たか? 番組では3人の起業家が紹介されていました。
1人目はairClosetの社長さん。洋服は自分で選ぶという常識を打ち破って、プロのスタイリスト
が毎月3着の服をコーディネートして、素敵な箱に収めて贈ってくれるというインターネットビ
ジネス。
2人目は、『100年後は世界一になる』と語るライフネット生命の社長さん。今はコメンテー
ターとしても活躍されている出口さんと組んでの会社設立。余計な固定費を削減することで
生命保険料を格安にしてしまったことは有名なお話。
そして、3人目が、『車椅子は押して動かす』という常識を打ち破った株式会社ジンリキの社長
さん。車椅子が、わずか1㎝の段差すら、簡単には越えられないことを、恥ずかしながら初めて
知りました。今回初めて知った会社なので、この『JINRIKI』の社長中村さんについて、今日は、
お話ししたいと思います。
中村さんの4歳下の弟さんは、生まれて間もなく小児麻痺を患い、車いす生活を余儀なくされ
たそうで、幼少期を共に過ごした弟さんは13歳であまりにも短い生涯を閉じたそうです。
一度は『引く』という車いすの発想を思いつきながら断念していた中村さんですが、東日本大
震災をきっかけに『自分にできることは何だろうと、改めてもう1回考えたときに…。もしか
したら、1人でも2人でも…。やるべきことはそれかなと思い…。』JINRIKIを形にする取り
組みが始まったそうです。
この【押す】のではなく【引く】車いすは、介助する人の負担を軽減するだけでなく、これま
で難易度の高く、行ける所が限定されていたのを開放し、災害の避難経路すら健常者と変わら
ない時間で移動する事を可能にしていました。東日本大震災が起こってから、車いす生活だっ
た人は、何かあった時は、他の人と同じように生き抜けないと諦めていた方も居られたようで、
この車椅子の存在を知った事で『あなたは命の恩人です』と『これで皆と同じように生きていけ
ます』そう話してくれたそうです。
中村さんは、全国の観光地にも積極的な働きかけを行っており、和歌山城では、忍者に扮した
スタッフがJINRIKI付きの車いすで案内してくれるそうです。車いす利用者にも気兼ねなく来て
もらうためJINRIKIを採用する観光地は増えているとのこと。また、昨年インドで行われた障害
者について考える世界会議にも招待されるなど、確実にその裾野を広げています。
最後に中村さんは、こんな事を話されていました。
『圧倒的足りない部分は皆さんのサポート体制というかケア』『大丈夫ですよ、前輪持ち上げ
ますよ、「ひと言」声をかけて手伝っていただけるこの状況が、もっともっと広がればホント
の意味でのバリアフリーになった。』『今の状況の中でやるべき事は、もっともっと皆さんに、
一般の方が、全員が、「誰でも車いすを押せますよ。」更にJINRIKIを使ってどこでも行けます
よ。』そんな車いす利用者にとって本当の意味での優しい世界を目指したいと話されていたの
です。
番組の中では、実際に進行を務める人たちが【引く】車椅子と【押す】車椅子の違いを体験
されていましたが、貴重なシーンだったと思います。『これで皆と同じように生きていけま
す』というメッセージ、暫くは頭から離れそうもありません。知る事、大切ですね。