7月9日放送の未来EYES『立命館大学情報理工学部』の回、ご覧になられましたか? 取り
扱われたのは『超音波スピーカー』という謎のスピーカー。音が広がってしまう普通のスピー
カーとは違って、超音波の『音が真っ直ぐ進む性質』を利用して、『ここだけで聞こえる
スピーカー』を生み出したのです。
西浦教授は単独では聞こえないはずの音が、音を重ねることによって聞こえることに気付き、
線だった音を点にできるのではないかと思われたそうです。文明の進化とともに、自然界の
音だけでなく機械の音や壁に囲まれることで発せられる音など、騒音も大きなストレスの
もとになっている昨今。騒音に関する苦情は年間1万6,490件にも上るそうで、住民同士の
トラブルも後を絶ちません。
日常生活の中で、自分の好きな音だけが鮮明に聞こえたら、どれほど心地よい社会になる
ことでしょう。立命館大学情報理工学部の西浦教授が取り組む「超音波スピーカー」は、
スピーカーから超音波を使いヘッドホンなどがなくても耳元でのみ音が聞こえ、音の届く
範囲を制限することを可能にしました。
この「超音波スピーカー」、立命館大学で取り入れられている様子が映されましたが、既成
概念が邪魔してか、異様な感じ…。ホールの中では、激しいよさこいダンスをする人たちと
コアトレーニングに集中する人たちが、同時に真横で活動していたのです。本来はお互いの
音が気になって練習どころではないはずなのですが「超音波スピーカー」を使うことによって
音が聞こえる空間を分けているのです。共存する他の人に音の迷惑をかけることなく使える
スピーカー。音の聞こえる範囲をコントロールするという夢の様な技術…色々な可能性が見え
てきそうです。
西浦教授の理想の未来とは何かと尋ねられると「音によるストレスを減らしたいと思う」と
答えられていました。その思いから生み出されたのが「快音化スピーカー」。この快音化
スピーカー、耳ざわりな騒音に、別の制御音を加えることで快音に変えることができるの
です。たとえば昆虫の高音の鳴き声が騒音なら、テレビ放送終了後の『砂嵐』といわれる
画面から出ているような音を基に設計した制御音を加えます。すると、不快な音ではなく
なるということが、心拍数や官能評価による実験で確認できました。
西浦教授は「文明の発展が騒音の発展ではいけない」と話されていました。疲れた時…
休みの日ぐらい…『静かに過ごしたい。』『好きな音で癒されたい。』そんな願いも、
簡単に叶えられる時代がやってくるのかもしれませんね。