3月23日放送のカンブリア宮殿『日本の食卓を変える窯元!主婦殺到の"便利土鍋"の秘密』
御覧になられましたか?主婦の間で噂になっている75万台を売った大人気の炊飯土鍋
「かまどさん」という魔法の土鍋。実は、この土鍋15分間中火で加熱し、火を止めて20分
蒸らすだけで、釜戸を使って「はじめ、ちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子が泣いても、蓋
とるな」で炊いたような、ふっくらとした、美味しいご飯が再現できる優れもの。そんな
土鍋を生み出したのが、三重県伊賀市にある180年以上の歴史を持つ伊賀焼の窯元・長谷園。
古くは、千利休が使用する茶器などを手掛けていましたが、その後、清水焼や信楽焼などの
有名焼き物の下請けに甘んじていたらしいのです。
長谷園に大きな転機が訪れたのは、6代目彰三さんの時のこと。彰三さんは、伊賀焼に使う土を
徹底的に研究し、建築用のタイル製造に事業を拡げたのです。7代目は、会社を焼き物の
下請けとタイル事業で存続させていくつもりでしたが、1995年の阪神淡路大震災が起こって
しまいます。この地震の報道で、タイルが崩れる映像が繰り返し放送され「タイルは、重くて
地震に弱い」というイメージが広がり、売り上げの7割を占めた建材用タイルに、キャンセルが
相次いたのです。年間の売上高が6億円程度の時に18億円の借金…そんな中で長谷園は
起死回生の勝負に打って出たのです。
そんな『いがもの』と言われる焼き物をつくる窯元が、これまで世の中に無かった“機能性
陶器”など200種類を生み出すようになりました。例えば、煙が出ず、食卓で薫製を楽しめる
土鍋「いぶしぎん」や、蒸し料理が簡単に作れる「ヘルシー蒸し鍋」。IHで使える土鍋や
ピザ用鍋、カレー鍋、吸水性を活かした1人用電子レンジご飯鍋「とうちん」まで…しかも、
その全てが、家庭料理のおいしさがアップする魔法のような土鍋なのです。
食卓の常識を打ち破る凄い土鍋を次々と開発したのが、伊賀焼き最大の窯元・長谷園
7代目 長谷優磁さん77歳。『民芸品は毎日進化していると思わなければダメだ』と語る
優磁さんは、伊賀の土が、保温性に富んでいる事を活かして特許を取り続け、今も開発に
没頭する現役なのです。
世の中にない商品でヒットを連発してきた長谷園。それを可能にさせたのが優磁さんの
「作り手は真の使い手であれ」という、ものづくりのポリシーにあります。常に客の立場に
立ってニーズをつかむことで、思わず買いたくなる新商品を生んできたのです。
いつもの社長の金言は…
“時代の変化”の中に新たなチャンスがある
村上龍の編集後記では、『重要なのは「できるだろうか」という問いではない。「やる
だろうか」だ。寝ても覚めても考え続けることで、「完成」のイメージが生まれる。』
そんな事が書かれていましたが、寝ても覚めても考え続け、いつアイデアが生まれても
逃さないように、あちらこちらにメモを置いていると語られた優磁さん77歳。実に生き生きと
されていました。