箸の気持ち
私なら米粒一つだって簡単につかめますよ
外食ではスプーンやナイフの為に、隅に残ったご飯が
心に引っかかったことがありませんか
スープは苦手ですが、他は全て自由自在
・・・だったはず・・・
なのに、今では残った米粒一つの為に私を使える人が殆どいない
思えば米粒さんも可哀想・・・他の食べ物だって・・・
掴んで欲しいのに、スプーンの様にすくったり、フォークの様に突き刺したり
ひどい時は、かたい物を強引に横で押し切ろうと・・・
短い命の仲間はたくさんいます・・・使い捨ての仲間も
目的に合わせているのだから仕方ないでしょう
でも・・・
私らしく使って欲しい・・・
何年もすり減っても使ってくれた昔のように
私が口に運べる物も大切にして欲しい
中には私を、ペットの様に持ち運んでくれる人もいる
大切に洗い、寝床で眠らせてくれる人もいる
そんな事まで望まないけれど・・・箸らしく活かされたい
私の能力を最大限引き出してもらえたら・・・どんなに幸せだろう
またいつか、箸置きという枕の上に、2本で一対の私を横たわらせて…
大切な人のおもてなしが出来ますように…
詩集「道しるべ」より