少し前にNHKで放送された『プロヘェッショナル 仕事の流儀』
既にこのブログでもご紹介させて頂いた『るろうに剣心』の回に触れた
作曲家の佐藤直紀さんですが、2度目なので、今日は番組の中で触れられた
3つのキーワードについて書きたいと思います。
依頼に応じて、曲調やスタイルを自在に変え、同じ人の作品とは思えない
ほど豊かな曲を産み出してみせる佐藤さんは、自らを作曲家ではなく、
「作曲屋」と例えていました。正にプロヘェッショナル。作曲の中で、
佐藤さんが貫く流儀…それは、映像を何度となく見続け、映像の中に、
作り手の伝えたい意図やイメージを、ひたすら読み解いていくこと。
映像を見て、その空気や匂いを感じ取って、どんな音楽が一番はまるかを
探り続けるのだそうです。
● あがいてあがいて、あがき抜く
自分を追い詰める。追い詰めて追い込んだ時にアイデアが生まれたり
越えられない壁を乗り越えられたり、視点を変えられたり…よく聞く話です。
佐藤さんは、自分に音楽の才能があると思ったことはないといいます。
まだ駆け出しの頃は、仕事先からいつも、「佐藤さんの個性が見たい」と
言われたそうな。自分の個性とは何か?佐藤さんは悩み続けたそうです。
転機が訪れたのは、10年目につかんだ映画の仕事。求められる曲のレベル
の高さに、佐藤さんは悪戦苦闘しました。ひたすら映像を見続け、体から
絞り出すように、何度も曲を直し続けたそうです。そうして出来上がった
映画は大ヒット。以来、どんな仕事でも最後まであがいて、注文に応えて
きた佐藤さん。いつしか、そのメロディは「佐藤節」とも呼ばれるように
なっていきました。
●「個性は出そうと思って出るものではない。とことんあがき続ける中で
にじみ出てくるものが、個性になるのではないか。」
去年夏、佐藤さんは3年にわたって放送されるNHKの大河ファンタジー「
精霊の守り人」の音楽を作ることになりました。既に第1回が放送されま
したよね。そのテーマ曲で求められたのは、パワー。そして、一度聞いたら
忘れられないメロディ。
45歳の佐藤さんは、自分が作曲家の第一線に立てるのはあと10年が限界だと
考えているそうです。自分に課しているのは、「次の曲は、一つ前の曲を
超える」ということ。常に最高の音楽を目指す覚悟で、1曲1曲に挑んで
いるとのこと。「いいものを作らないと次はないという覚悟は当然あります。
一番新しい作品に関しては、これまでの僕の音楽の中でベストを作りたい。
そこを目指しています。」
● 最新作を最高傑作にする
正にプロヘェッショナル…作曲屋でした。全く生きる世界の違う人ですが
仕事に対する姿勢は、見習わなくてはならないですね。