自己破産や返済困難が5000人 コロナ特例貸付金は20億円(共同通信) そんな記事が掲載されたのは今年の4月末の事。
コロナ禍で減収した世帯に生活資金を公費から特例で貸し付ける制度を巡り、返済が難しく自己破産や債務整理の手続きをした利用者が全国で少なくとも約5千人いることが4/30日、共同通信の全国調査で分かった。1人で複数回借りる人も多く、貸付件数では約1万8千件に上るのだとか。返済困難な金額は回答が得られた分だけで約20億円。
特例貸し付けは最大20万円の緊急小口資金と、最大60万円を3回まで貸す総合支援資金の2種類がある。返ってこない分は国庫の負担。都道府県の社会福祉協議会が5~6月をめどに返済の要否を知らせる予定で、連絡を機に自己破産などが急増する恐れがあるといわれているが、コロナとの共存が普通になりつつある今、どうなっているんだろうか…。
国の無利子貸付制度が生活再建に結び付かない深刻な理由…そんな記事が掲載されたのは6/4。
なぜ生活再建に結び付かず、苦境に追い込まれる人が多く出てくるのか。取材によると、またも制度の「弊害」が浮かんできた。
最大200万円まで借りられ、無利子。市区町村の社会福祉協議会(社協)が受付窓口になっており、申請期限は延長を繰り返し、今も利用可能で8月末まで受け付けているとか。緊急小口資金は2年以内、総合支援資金は10年以内に返済が必要で、早い人は来年1月から返済が始まる。
貸し付けを受けても生活苦に直面する人たち。
「どうやって返せばいいのか。常に不安を抱えながら暮らしている」。首都圏に住むシングルマザーの40代女性はそう言って、うつむいた。女性は2020年夏、コロナ禍で飲食店員の職を失い、貸付金を限度額の200万円まで借りた。現在は別の飲食店で働くが、一緒に暮らす20代の子ども2人のうち1人は大学生で、貯金を取り崩しながら綱渡りの生活だ。貯金は底を突きかけており「自己破産が頭をよぎることもある」。
大阪府の50代女性も20年春に飲食店の雇い止めに遭った。月約7万円を得ていたが、収入はゼロに。貸付金155万円を借りた。求職のためハローワークに通うが、腰にヘルニアを抱えており「働く意欲はあっても立ち仕事は難しく、なかなか職が見つからない」。食費を切り詰めるため、1日1食で水を飲んで空腹をごまかしているものの、生活資金はもうほとんど残っていない。支援団体に食料を送ってもらい、日々を乗り切っている。返済は難しい状況だ。
政府はコロナ禍や物価高騰で困窮する子育て世帯を対象に、子ども1人当たり5万円を6月から順次、支給するが、女性は受け取れない。「子育て世帯以外の困っている人にも目を向けてほしい」と切実に訴える。コロナ禍で優先されたのが迅速にお金を渡すことだった。その半面、申請は郵送でも可能で、審査は形式だけにとどまり、顔を見ないまま貸すケースもあった。社協の現場職員からは「生活を立て直す支援をせず、『自助』の名の下に借金を背負わせているだけ」と疑問の声も上がっている。
返ってこない分は国庫の負担となる。都道府県の社協が5~6月をめどに返済の要否を利用者に知らせることになっていて、通知を機に夏以降、自己破産などが急増する恐れがある。 返せずに自己破産した場合、利用者は経済的にも心理的にもダメージを受ける。生活再建に向け家計支援や精神的なサポートなどが必要になるが、債権者である社協から連絡を取ることは原則できず、支援の網から漏れかねない。
持続化給付金詐欺や家族や、国税局職員などの詐欺が話題になった事もあって、この給付金やら貸付金は、何かと困った種で、それだけに今回のコロナ災害の傷跡は大きかった。帝国データバンクによる2022年6月17日16時現在の調査状況では、新型コロナウイルスの影響を受けた倒産(法的整理または事業停止〈銀行取引停止処分は対象外〉、負債1000万円未満および個人事業者を含む)は全国に3556件(法的整理3301件、事業停止255 件)確認されている。負債1 億円未満の小規模倒産が2088 件(構成比58.7%)を占める一方、負債100 億円以上の大型倒産は6件(同0.2%)にとどまっている。勿論、氷山の一角。
少しずつコロナも落ち着いてきており、共存の方向に進みつつあるし、経済の活性化の為に様々な対策も打ち出されてはいるものの、苦しんでいる人たちが救われるのは簡単な事ではなさそうで、そうした事も忘れてはいけない気がしてならない今日この頃。
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