2月4日放送のNHKスペシャル【「人体」”脳”すごいぞ!ひらめきと記憶の正体】ご覧になられましたか?体の臓器同士で密接につながりを持っているという話が続いていましたが、そんな臓器との連携を図りながらながらも、その内部に高度なネットワークを築き上げてきた、「究極のネットワーク臓器」の『脳』。楽しく見させて頂きました。
私たちの脳には1,000億の神経細胞があると言われ、それぞれの細胞が電気信号をやりとりすることで情報を伝え合っています。脳はただ単純に電気信号をやり取りするだけではなく、神経細胞と神経細胞との間で「メッセージ物質」を使って情報を伝えているとか。脳の中を飛び交うメッセージ物質の中でもっとも多くの数を占めるのが、「電気を発生させて」というメッセージを次の細胞に伝える「グルタミン酸」。このメッセージ物質があるおかげで、電気信号は細胞から細胞へ次々とリレーされていくそうです。
更に、この電気の伝わり方に様々なバリエーションを生み出すため、数十から100種類ものメッセージ物質が脳の中を飛び交っているのだとか。メッセージ物質のさじ加減ひとつで、電気信号の伝わり方に無数とも言えるバリエーションが生まれ、その不安定さが、時に想像すらしない「ひらめき」を生み出す原動力になるというのです。取捨選択する脳…効率だけではない、広がりを許す脳の仕組み、面白いシステムです。
「ぼーっと」している時、私たちの脳は決して活動をやめているわけではなく、むしろ脳の広い領域が活性化している「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれる不思議な状態にあることが分かってきています。このネットワークが、無意識のうちに私たちの脳の中に散らばる「記憶の断片」をつなぎ合わせ、時に思わぬ「ひらめき」を生み出していくのではないか、と注目されているのです。なんと山中先生も、シャワーを浴びてボーッとしているときに、IPS細胞のひらめきが生まれたと仰られておりました。
さらに番組では、「ひらめき」を生む上で重要となる「記憶」の秘密…脳の奥深くにある「海馬」、その入り口にある「歯状回」と呼ばれる場所で神経細胞が新たに生まれ続けていることで、新しい記憶を次々と作り出しているとか。さらに最新の研究では、この歯状回で新たに生まれる神経細胞の成長を、私たちが物を食べたりした時に「すい臓」から出される「インスリン」が役立っている事が分かってきたとか。
番組では関連する認知症の話や、それを解決する取り組みについても取り上げられていました。メッセージ物質を選別してしまう関門を突破させて認知症を改善する薬。血管の通過を許されているインスリン…詳しくは、是非番組の再放送でご確認下さい。
健康な人の脳では90歳を過ぎても細胞が生まれ続けているそうです。まだまだ、「ボケてきたなぁ」なんて、のん気な言い訳は言えないし、認知症やアルツハイマー病の対策も進んできているのだから、沢山の記憶を補充して、ひらめきを楽しみながら健康に生きていきたいですよね。