先日、映画『マネーボール』を観ました。実話を基にして作られており、選手や監督では
なく運営するゼネラルマネージャーが主役という異色の野球映画となっています。
ブラッド・ピット演じるビリー・ビーンは、かつて超高校級選手としてニューヨーク・メッ
ツから1巡目指名を受けたスター候補生でした。スカウトの言葉を信じ、名門スタンフォード
大学の奨学生の権利を蹴ってまでプロの道を選んだビーンでしたが、鳴かず飛ばずの日々を
過ごし、さまざまな球団を転々としたのち現役を引退。スカウトに転進し、第二の野球人生を
歩み始めていたという設定です。
2001年のディビジョンシリーズで、オークランド・アスレチックスはニューヨーク・ヤンキー
スの前に敗れ去り、オフにはスター選手であるジョニー・デイモン、ジェイソン・ジアンビ、
ジェイソン・イズリングハウゼンの3選手のフリーエージェント移籍が確定的となってしまい
ます。この時アスレチックスのGMに就任していたビーンは、2002年シーズンに向けて戦力を
整えるべく補強資金を求めますが、資金に余裕の無いオーナーの返事は冷たいものでした。
ある日、トレード交渉のためにクリーブランド・インディアンスのオフィスを訪れたビーンは、
イエール大学卒業のスタッフ、ピーター・ブランドに出会います。ブランドは各種統計から
選手を客観的に評価する『セイバーメトリクス』を用いて、他のスカウトとは違う尺度で選手を
評価していました。
ブランドの理論に興味を抱いたビーンは、その理論をあまり公にできず肩身の狭い思いをして
いた彼を自身の補佐として引き抜き、他球団からは評価されていない埋もれた戦力を発掘し、
低予算でチームを改革しようと試みていきます。
それまでのスカウトの目や監督の感に頼るのではない、いわば邪道的な大改革で球団を根本
的に変えていく様は痛快であり、楽しく観させていただきました。正直、ブラッド・ピットが
ゼネラルマネージャーという設定が、如何なものかとは感じたのですが、役者よりも物語の
方が上回った感じです。
20連勝まで達成した試合に関しては、試合展開も含めて事実に沿っているそうですが、それ
以外のシーンにおいては、やはり若干の脚色が見られるようです。しかしながら、映画は
「楽しめれば良い」という一面もありますから、私は全然OKです。ついでに何が真実と
違うのかも調べると笑えたりもするものです。旧体制をぶち壊したいとストレスのたまって
いる方、是非お薦めの映画です。