1月12日放送のカンブリア宮殿「ブラックからホワイトへ!"働き方革命"最前線」ご覧に
なられましたか?
長時間残業が当たり前だったITシステム業界でありながら"ホワイト企業"へと驚きの大変身を
遂げた情報システム会社で業界第5位の業績をあげているSCSK株式会社。改革を指揮した
中井戸社長は、「従業員を犠牲にして利益を出しても一流企業とは言えない。自分の息子や娘を
入れたいと思うか、が基準だ」と信念を語っていました。
深刻な残業問題を抱えるITシステム業界。過重労働で心身を害する従業員が後を絶ちません。
SCSKも長く残業体質にあったそうですが、2011年、当時社長に就任した中井戸さんが大胆な
改革に乗り出したのです。「残業を減らせば残業を出す」という逆転の発想で、見事半減に
成功。社員全員に有給休暇の完全取得(年20日間)も達成させました。社員の家族には中井戸
社長自らが手紙を送り、「一流の会社になるためには社員の健康が欠かせないこと」と訴えた
そうです。一方で、「働く時間が減れば、当然売り上げも減る」という懸念を払拭するような
結果も現れ、6期連続で増収増益を続けているそうです。
中井戸社長の前職は住友商事元副社長。総合商社と言えば“モーレツ社員”が代名詞でしたが、
中井戸社長は定時に帰る異端児。やがてドイツや米・シリコンバレーに赴任し、生産性の高い
働き方を目の当たりにしました。そんな中井戸社長が残業削減に着手する前に手がけたことは、
健康環境の整備。豪華な食堂を新設し、専門医がいるクリニック・薬局を開設、さらにはマッ
サージルームをつくって、マッサージを受けている時間も勤務時間にカウントさせたのです。
「健康であることがいかに高い生産性を生むか」…中井戸社長の信念がそこにあります。その
証として、『健康わくわくマイレージ』なるものがあって、毎日の健康チェックが評価されると、
それがボーナスに反映されるようになっているのです。社長の金言が『心に触れる“従業員
ファースト”経営』であることが嘘ではないことがよく分かります。残業減らすとボーナス
12万円増もさる事ながら、残業しない日を指定させたり、会議は立って行う事で長時間行わ
ないようにしたり、金曜日を午後3時退社にしたり、どれだけ従業員ファーストな会社なの
でしょうか…。
村上龍さんは編集後記で以下のように話されていました。
「働き方」が、トピックスになっている。政府は「働き方改革実現会議」を発足させた。
信じられないような、長時間の残業で、心身を病む人、自殺者も出て、社会的な危機感が、
生まれている。今、残業は、生産性低下など、諸悪の根源のように言われているが、かつては
常識であり、美徳でもあった。「残業」は、文化的な問題でもある。「身を粉にして働き、
自らを犠牲にして組織に尽くす」いまだに美談だ。だから、残業を減らすのは、むずかしい。
重要なのは、忠誠心の利用・依存から抜け出し、「個別の信頼」を、築くことかもしれない。
今週2月24日、初めてのプレミアムフライデーを迎えます。電通の問題もつい最近の話ですが、
果たして、どれほどの企業が実施できるのでしょうか。お昼休みも夜遅くも、土日であろうと
対応を迫られる事の多い中小企業は、受けなければ仕事がなくなるのではという弱い立場の
企業も数多くあります。まずは大手企業や学校も含めた官公庁に定着していくことが必須なの
かもしれません。とりあえずは、初回となるプレミアムフライデー…どうなることやら…