今年の4月5日、「世界でいちばん貧しい大統領」と呼ばれた前ウルグアイの
大統領 ホセ・ムヒカさんが初来日し、4月7日に東京外国語大学で講演を
行いました。そんなムヒカさんの講演から印象に残ったお話を記して
おきたいと思います。
●人間の人生は他の生き物の一生とは違うものがあります。というのは、
ある程度まで、私たちは何かを創ることができる。すなわち、自分自身の
人生の道を築くことができるからであります。なぜなら、私たちには意識が
あるからであります。私たちは存在の方向性というものを作ることができる
のです。若い皆様方、皆様には2つの選択肢があるのです。1つは、
「生まれたから生きる」ということです。いずれのほかの生き物すべてと
同じように、であります。また、もう1つの選択肢というのは「そこから
出発して、私たち自身の人生というものを方向づける」。そしてまた、
それを自分自身で操縦していくということであります。すなわち、この
奇跡のような生をうけたということの大義のために生きるのであります。
人間に与えられた能力を、しっかり生かして行きたいものです
●買いたい物を買い続ける事は控えるべきです。あなたがもし何かを買う時、
それは、あなたは何かをお金で買っているのではないのです。あなたが
買うということは、それはあなたの人生の一部の時間、そして、その時間を
お金を稼ぐために費やさなければならなかった人生の一部の時間で払って
いるのです。そして、あなたは人生の時間というものをきちんと尊重しな
ければなりません。ですから、節度ということが重要なのです。なぜならば、
時間は必要だからです。重要だからです。人生を楽しむために、享受する
ために、自由な時間というのが必要だからです。
買い物もを控えることで、自由な時間・ゆとりを創り出し、その時間を有効に
使う事が大切だと…
●世界中で1分間に200万ドルが軍事予算に使われています。しかし、
これが最悪なのではありません。最悪なのは、こういった方向性を止める
ことができないことです。もっとも重要なことは勝利することではありま
せん。人生でもっとも重要なことは「歩く」ということです。歩き続ける
ことです。これは何を意味するか? すなわち転ぶたびに起き上がる。
それから、また新たに何かを始める勇気を持つ。何かに打ち負かされた
ときに、また立ち上がる、ということです。
諦めないこと…歩くということ
●日本ではなかなか希望を持てない、というふうに聞いています。前に
聞きましたけれども、若者の30パーセントぐらいしか投票に行かない、
と聞きました。……信じてないんですね。でも、もし信じられないん
だったら、信じられるように何かをしてください。人生を信じられる
ようにしてください。なにか悪いことがあって、それを変えたいと
思うこと、不満を持つことはいいことです。単に何もしないで不平
ばっかりを言っているのでは、まったく変わりません。一緒に同じ
気持ちを持つ人と、まとまって一緒に何かをしなければいけないと
思います。
思いがあるなら、動きなさい・・・
言葉の1つ1つに重みのある、思いのある素晴らしい講演でした…。